久々に『アヘン王国潜入記」を読み返してみました。
やはり高野さんの本は何度読み返しても面白いですね。
高野秀行とは
「アヘン王国潜入記」の著者は、ノンフィクション作家の高野秀行さん。
かつてフジテレビでやっていた『クレイジージャーニー』にも何度か出演されているので、知っている人も多いかと思います。
1989年に早稲田大学の探検部での活動をまとめた『幻の怪獣・ムベンベを追え』でデビュー。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」がポリシーだそうで、世界中の様々なところへ冒険へ行き、そこでの出来事を本にしています。
アヘン王国潜入記
本書は高野さんがミャンマーのワ州と呼ばれる反政府ゲリラの支配区に、1995年から1996年にかけて7カ月滞在したときの出来事をまとめたものです。
ミャンマー・タイ・ラオスの国境近辺に広がる麻薬地帯のことをゴールデントライアングルと呼ぶのですが、その中でもミャンマーのワ州のことを『アヘン王国』とよんでいます。
実にアヘンの60~70%がワ州で産出されているそうで、アヘンもしくはアヘンを精製して商品化された非合法モルヒネやヘロインの世界最大の生産地となっています。
これは、「アヘン王国潜入記」の書かれた90年代のことなので、今は少し状況が違うと思われますが、最近でもミャンマーは軍がクーデターを起こすなど、やばい状況は変わりがなさそうです。
善悪の彼岸
「アヘン王国」なら、そこら中でアヘンを吸っているかと思いきや、公には禁止されているようです。
現地ではアヘンは現金同様に取引されており、アヘンを中心に経済が回っているから。
高野さんの場合は、生活の不規則さで体調を崩し、ひどい頭痛や胃もたれ、下痢などに襲われたことをきっかけにアヘンにハマっていくことになります。
お目付け役に「こりゃアヘンを吸うんだな』と言われ、吸ってみると『頭蓋骨痛も、胃の不快感も、下痢も、節々のだるさも瞬時に消えてなくなった』と強烈な体験をすることで、どっぷりとアヘンにハマってしまいます。
お目付け役に「二度とアヘンを吸うな」と言われますが、嘘をついてまでアヘンを吸おうとするまでになってしまいます。
最初は軽い気持ちでアヘンを吸った高野さんが、どんどんアヘンにハマっていく様子はかなり怖いです。
日本でも若者の間に大麻などの薬物が広がっているようですが、最初は軽い気持ちでもどんどん深みにハマって抜けれなくなるんだろうな〜。
やはり、手を出さないほうが懸命ですね。
善悪の彼岸から帰ってきた後
アヘンにハマった高野さんでしたが、ワ州を離れた後は当然以前のように気軽にアヘンを吸うことはできません。
しかし、禁断症状に苦しんだのは2,3週間程度。
それよりも、高野さんを蝕んでいたのはアヘン中毒より精神的なワ州中毒。
感心してくれるかと思って自分で作ったアヘンの塊を仲介者に見せたら、和やかだった仲介者は突如険しい顔になって「お前どうしてこんなものを持ってきたんだ」と言われてしまいます。
あまりにもアヘンが身近にあったため、善悪の感覚が麻痺してしまったそうで、この件によりようやく「善悪の彼岸」より帰ってきたことを実感したそうです。
平凡なサラリーマンでも、冒険を疑似体験
高野氏のように、自分の興味のあることや好きなことを追い続ける生き方には憧れる部分はあります。
今の生活を捨てて「好きなことで生きていく」ことはいまさら考えていませんが、平凡なサラリーマンである自分にとって、冒険を疑似体験させてくれる高野さんの本は非常に魅力的です。
おしまい。
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